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「超人類」の特徴

前回は経営者や工場長、店長クラスの世代、すなわち50代から60代前半の感覚と20代から30代の若手社員の感覚の違いについてお話ししました。今回はこうして登場した「超人類」とでもいうべき若い世代の特徴について、もう少し詳しく見てみましょう。

 

 

こうした「超人類」は、まず学校教育の中でその姿を現しました。私が学校現場にいた20年余りの間にも、生徒たちの行動傾向に大きな変化の波を感じたものです。

 

一つの例をあげましょう。かつて新人教師として赴任した高校は各クラス45名で学年の定員は450名。全校ではなんと1300人余りもの生徒がいましたし、修学旅行も団体バスを10台も連ねた一大イベントでした。当時はそのように学校の中に生徒があふれていて、放課後のグラウンドや体育館なども、部活動の生徒で場所の取り合い。その分競争も激しく、大学進学のための予備校も大盛況でした。ところがいまでは少子化が進行し、その学校も一学年の定員は120名となっています。でも現実には定員を割っているため、もっと少ない人数しか在籍していない状態です。

 

 

当然、社会全体としても大学進学の門戸が広がり、結果として予備校が経営難に・・・2014年には大手予備校の代々木ゼミナールが浪人生の激減で全国27校体制を維持できなくなり、全国で20校を閉鎖して職員を100人リストラするまでに至りました。(2014年8月23日 日本経済新聞の記事より)

 

こうした社会的背景のもとで成長した「超人類」たちは、まず他人と争うことを好みません。言葉を換えれば、他人と関わることを避ける傾向があります。その端的な例が、企業に入って「電話を受けられない」という現象です。よく考えれば、彼らは自分のケータイで電話をしています。ケータイには知人・友人の名前と番号が登録されており、かかってきた電話の相手がわかるようになっています。(最近はこれも煩わしいので、もっぱらLINEなどのメッセージ機能を使うようです)

 

 

ところが職場にかかってくる電話は、基本的には「電話に出るまで相手がわからない」もの。それがとても不安なようです。さらに「トモダチ」ではない人と話すことが苦痛でもあります。ときには取引先から叱責を受けて謝ることもあるでしょう。こうした電話に出るのが苦痛で、仕事をやめてしまったケースも実際にはあるのです。